尿失禁・骨盤臓器脱を防ぐために必要な「本当の骨盤矯正」とは?
なぜ今、産後の骨盤矯正が注目されているのか?
「産後は骨盤矯正をしないと骨盤が開いたままになる」と言われるようになったのは、ここ10〜20年のこと。今の40代以上の方に話を聞くと、「そんなの聞いたこともない」と答える方が多くいらっしゃいます。
一方で、20代〜30代の出産経験のある女性たちは、「出産後は骨盤が歪むから矯正が必要」と自然に思っていることが少なくありません。それだけ“産後の骨盤矯正”という考え方が広まってきたということでしょう。
しかし、ただ単に骨盤を「鳴らす」「締める」だけの施術で良いのでしょうか?
本当に大切なのは、出産という大きな変化を受けた体の本来の回復を助け、正しく導いてあげることです。
妊娠と出産で働くホルモン「リラキシン」と骨盤の変化
妊娠初期から出産にかけて、女性の体には劇的な変化が起こります。その中でも特に重要なのが「リラキシン」というホルモンです。
リラキシンは、妊娠初期から分泌されるホルモンで、出産に備えて骨盤周囲の靭帯を緩める作用があります。これにより、骨盤は胎児を育て、出産できる構造へと柔軟に変化していきます。
具体的には、
- 仙骨が前方へ
- 腸骨が後方へ
このような骨盤の動きが、リラキシンの働きでスムーズに進みます。
そして出産後、今度は授乳をきっかけにリラキシンが再び働き、骨盤は
- 仙骨が後方へ
- 腸骨が前方へ
という流れで3〜6か月かけて、自然と元の位置に戻っていくのが「本来の回復過程」なのです。
ところが…現代では自然に戻らないケースが増えている
理想的には、リラキシンやオキシトシンの働きによって産後の骨盤は自然に元の形に戻ります。
しかし現実には、その回復がうまく進まない女性が非常に多くなっています。
当院に来られる患者さんの身体を拝見しても、10年前、20年前に比べて
- 筋肉の弱化
- 姿勢の悪化
- 自律神経の乱れ
- ストレスの蓄積
などが原因で、リラキシンの働きが十分に発揮されないまま産後の回復が止まってしまっているケースが目立ちます。
また、妊娠前から体の使い方に問題がある方も多く、出産というイベントは、その不調を一気に表面化させるきっかけにもなっているのです。
産後の骨盤矯正は「骨盤だけ」では不十分
よくある「産後骨盤矯正」のイメージは、骨盤の関節を鳴らしたり、ベルトで締めたりするような施術です。
しかし、妊娠中の体の変化を考えると、骨盤の位置がズレるだけでなく、
- 姿勢が崩れる
- 内臓が圧迫されて位置が変わる
- 呼吸が浅くなる
- 筋力が低下する
など、全身に影響が出ているのは明らかです。
つまり、「骨盤」だけを調整しても、本質的な回復にはつながりません。
正しい産後骨盤ケアに必要な5つの施術ポイント
当院では、以下の5つのアプローチを産後ケアの中心に据えています。
① 脊柱移行部の固着の施術
胸椎から腰椎、腰椎から仙骨への移行部(トランジション)は、妊娠中の姿勢変化で固まりやすいポイントです。ここが柔軟に動かないと、骨盤の動きも制限されます。
② 腸間膜根への施術
内臓を支える膜構造「腸間膜根」は、妊娠中に圧迫されて可動性が落ちやすい場所。ここを解放することで、内臓の位置が整い、下腹部の違和感や便秘改善にもつながります。
③ 横隔膜の施術
妊娠中は胎児の成長とともに横隔膜が押し上げられ、呼吸が浅くなります。呼吸がうまくできないと、自律神経が乱れやすくなり、回復も遅れます。横隔膜をゆるめ、呼吸を整えることが回復の第一歩です。
④ 腹横筋のリハビリ
腹横筋は体幹を支える「天然のコルセット」です。産後はこの筋肉の活動が低下しており、しっかりとしたリハビリを行わなければ骨盤は安定しません。
⑤ 会陰部への裂孔や切開跡の施術
出産時にダメージを受けやすい会陰部は、癒着や瘢痕が残ると筋膜の滑走が悪くなり、骨盤底筋の働きが低下します。これは将来的な尿失禁や骨盤臓器脱の大きな原因となります。
骨盤底筋の弱化が招く「尿失禁・骨盤臓器脱」とは?
「産後の尿漏れは当たり前」と思っていませんか?
実はそれ、骨盤底筋の機能不全による**“サイン”**かもしれません。
骨盤底筋が弱くなることで、内臓を支えきれずに膀胱・子宮・直腸などが下垂する「骨盤臓器脱」が起きるリスクが高くなります。
これは産後すぐではなく、40代・50代・60代になってから出てくる問題です。
- 咳やくしゃみで尿が漏れる
- 長時間立つと下腹部に重だるさ
- 膣の中に何か下がってくる感覚
このような症状は、産後ケアをおろそかにした「代償」として表れるのです。
最後に:お母さんの体のケアは「最優先課題」です
赤ちゃんのお世話で手いっぱいになる毎日。でも、産後の今こそ、ご自身の体のケアを最優先にしていただきたいのです。
・無理に育児を続けて不調を放置してしまう
・「私さえ我慢すれば」と痛みを我慢する
・「骨盤矯正してるから大丈夫」と思い込んでしまう
これらは、将来的な大きな不調の引き金になります。
産後の身体は、ちゃんとケアすれば本来の機能を取り戻せる「再生のチャンス」です。
放置せずに、正しい知識と方法で、一緒に体を整えていきましょう。
そね整骨院では
当院では、出産による体の変化を深く理解した上で、オステオパシー・筋膜リリース・内臓調整などのアプローチを組み合わせた、本格的な産後ケアプログラムをご提供しています。
どこに相談すればいいか分からない…という方も、まずはお気軽にご相談ください。
未来のあなたの健康のために、今、できることから始めましょう。
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【そね整骨院|上田市緑ヶ丘】
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