「痛み」はどこから来るのか?──神経・血管・ファシアの視点から読み解く根本原因と施術アプローチ
日常的に「痛み」を訴える患者さんが整骨院を訪れることは非常に多いですが、「痛みの正体」を正確に理解している施術者は、実はそれほど多くありません。今回は、痛みが生まれる2つの主要ルートと、それに深く関わる“ファシア(膜組織)”の重要性について解説していきます。
痛みが発生する2つのルート
人体における「痛みの信号」は、主に以下の2つのルートから発生します。
① 神経系(特に末梢神経)
まず最も知られているのが「神経ルート」です。特に末梢神経のうち、Aδ線維やC線維といった侵害受容器を含む経路が関与します。
これらは
- 機械的刺激(圧迫・ねじれなど)
- 化学的刺激(炎症性物質の放出)
- 熱刺激(火傷や発熱反応)
などを感知し、脊髄を経由して脳へ「痛み」の信号を伝えます。
末梢神経が走行する筋膜、腱膜、滑液包、皮下組織などが圧迫・狭窄されると、痛みの信号が強くなり、慢性的な不調やしびれを引き起こす原因にもなります。
② 血管系(動脈・静脈・リンパ)
意外と知られていないのが「血管ルート」です。
血流の停滞や浮腫、炎症が起こると、局所的な内圧が上がり、血管壁から放出された化学物質が神経終末を刺激します。また、血管そのものには侵害受容器が乏しいものの、血管周囲の交感神経や膜構造の変性が間接的に痛みへとつながります。
すべてのルートは“ファシア”を通る
これら2つの痛みの経路は、例外なく「ファシア(膜系)」を通過することがわかっています。
ファシアとは、筋膜・腱膜・滑液包・腹膜・間膜などの膜組織の総称であり、神経や血管の大部分がこの膜構造の中や周囲を走行しています。
したがって、ファシアに滑走障害や癒着、緊張が起こると、神経や血管への圧迫や引きつれが生じ、それが痛みや不快感、しびれ、可動域制限の原因になるのです。
「じんわりした痛み」や「広がる痛み」の正体
ファシアを介した神経・血管への持続的な刺激があると、患者はよく次のように表現します。
- 「筋肉痛のような痛みが取れない」
- 「じんわりとした深い痛みがある」
- 「ある部分を押すと、離れた場所まで響く」
これらは「放散痛」と呼ばれ、単純な筋緊張では説明できない膜系由来の痛みの可能性が高いです。
ファシアアプローチが慢性痛に効果的な理由
温熱・電気・超音波などの物理療法は、痛みを一時的に軽減するのに効果的ですが、それらはファシアの“粘弾性”を一時的に変えるだけのアプローチであり、持続効果は限定的です。
一方で、徒手による膜構造へのアプローチ(ファシアリリース、筋膜調整、整膚など)は以下のような効果を持ちます。
- 緊張・癒着しているファシアそのものに働きかける
- 神経・血管の「走行の自由度」を回復させる
- 組織の間質液の流動性を改善する
その結果、10日以上効果が継続するケースも多く、慢性的な痛みに対して非常に有効といえるのです。
「筋肉が硬い=マッサージでほぐす」の誤解
痛みを本当に理解現場ではいまだに「筋肉が硬いからマッサージしよう」「骨盤が歪んでいるから整えよう」といった表面的なアプローチが主流ですが、これでは本質的な痛みの改善にはつながらないことも多いです。し、改善していくには
- 神経・血管の通り道(=膜構造)にアプローチできているか?
- ファシアの滑走や柔軟性が回復しているか?
を常に意識する必要があります。
まとめ|「ファシアから診る痛み」が未来のスタンダードに
痛みの根本を探ると、そこには必ず神経と血管があり、それらが膜構造を通っているという生理学的な事実があります。
だからこそ、「ファシア(膜系)」に注目した徒手療法の意義が、今後さらに高まっていくことは間違いありません。
整骨院や施術者は、ただ筋肉を揉む・骨格を整えるという枠を超え、「膜の癒着」「滑走障害」「圧迫」を視点に置いた評価とアプローチが、本質的な痛み改善に不可欠な時代に入っているのです。
【この記事を読んだ方へおすすめ】
【そね整骨院|上田市緑ヶ丘】
慢性痛や不定愁訴に対するオステオパシー徒手療法に特化した整骨院です。
そね整骨院
〒386-0022長野県上田市緑ヶ丘3-21-9
🕐 診療時間:8:00〜12:00 / 15:00〜19:00(土曜午後・日祝休)
【HP】にて診療日にご確認をお願い致します。

当院は 予約優先制 です。
お電話は「営業時間内 8:00~12:00/15:00〜19:00」に
TEL ► 0268-84-2098 までご連絡ください
ご予約はコチラ 今すぐ予約する ►